予防医療の必要性

清水歯科クリニックでは開業以来、長きにわたって虫歯、歯周病、不正咬合等の歯科疾患の予防に真摯に取り組んでいます。開業当時では珍しかった定期検診の制度も積極的に取り入れ、今では多くの患者さんが良い状態を保つためのメインテナンスに来院してくださっています。

乳歯列では虫歯の治療で苦労した子ども達でも歯磨き指導はじめ家庭での口腔衛生指導、定期検診でのフッ素塗布、PMTC(プロフェッショナルクリーニング)、シーラントなどの予防処置を行いカリエスフリー(虫歯のない)の永久歯列になっていただいています。
また、早期からの予防的な矯正治療(第一期治療)によって本格矯正にはいたらずに正常な永久歯列になっている子ども達も増えています。


成人の患者さんでは歯科医院での定期的な正しいメインテンスとホームケアの徹底で初診時よりも健康で若々しいお口を保って頂き、こちらの方が驚く事もしばしばです。
虫歯と歯周病の予防は決して難しい事ではありません。しかし、全ての患者さんに無理無駄のない予防医療を提供するには歯科医院は予防に関しての診査診断をきちんと行った上で患者さんへの情報提供を行い、治療を進めなくてはいけません。
そして患者さんには患者さんの役割りとしてホームケアを行い、メインテナンスに来て頂く必要があります。

歯が失われて行く理由

歯科において歯を失う原因となるのは主に虫歯と歯周病です。虫歯も歯周病も細菌による感染症である事がわかっています。また感染=発症ではなく、いくつかの条件が重なり合った時に初めて発症します。ですから実はかなりの確率で予防できる疾患なのです。決してなってしまって仕方のない疾患ではありません。しかし、発症してしまった虫歯や歯周病の治療のみに目を向け、本来予防できるはずの虫歯や歯周病に何故、罹患してしまったか、原因についてのアプローチがなければ歯は悪くなっていく一方です。

虫歯の治療を例にとってみましょう。
虫歯のない真っ白な歯をボールと思ってください。表面は傷一つなくピカピカ、つるつるです。きれいですね。
想像してみてください。傷のないボールと穴があいてしまって補修したボールとどちらが丈夫で長持ちするでしょうか?
虫歯になってしまって修復物を入れた歯は、穴の開いたボールを補修したのと同じ状態です。一度削ってしまった歯はどんなに良い詰め物をしても元の歯よりは弱くなってしまうのです。
次に詰め物の寿命のお話をしましょう。歯の詰め物は一生、持つとお考えでしょうか?それは大きな間違いです。歯の詰め物にも寿命があります。

図1は歯科で一般的に行われている修復物の平均使用年数です。修復物の物性と患者さんの口腔衛生の問題(虫歯の再発)で再治療が必要になるまでの期間を示したものです。短いものでは5年程度です。長いものでも8年程度です。
ではさらに厚生省で行っている歯科疾患実態調査の結果;図2〜4をご覧下さい。

図2 年齢と共にD;齲歯、M;喪失歯、F;修復された歯が増加していく様子 

図3 DMFTの増加と同じように年齢と共に歯の喪失が増加する様子

図4 同様に年齢と共に喪失歯が増えるとそれを補うためのより大きな修復物を入れなければいけなくなっている様子

年齢階層別の喪失歯数、喪失歯を有する者、無歯顎者(28本喪失)の割合、虫歯の治療経験指数(DMFT指数)、補綴物に占めるブリッジ、部分入れ歯、総入れ歯の割合を見ると加齢に伴って修復処置のやりかえが必要になりその度に歯の喪失が促進されている事がわかります。つまり、一度治療した歯は平均的な表1−1に則って5年後、7〜8年後、次の7〜8年後と再治療を繰り返されついには抜歯に至る道を進んで行くのです。

そこでお一人お一人に合ったリスク診断に基づく治療が必要になるのです


虫歯はいろいろな要因が重なって初めて発症します。
その要因も研究が進むにつれさらに詳しく、また各々の重要度も解明されつつあります。

当医院ではサリバテストをはじめ患者さんのお口の中の状況を正確に把握する事によってより確実な治療と予防に努めています。

下の表をご覧下さい、口腔清掃と同じくらい食生活がう蝕の発生に関与している事がわかります。また、フッ素での予防と同じくらい唾液に関する因子が予防に関わっている事がわかります。

歯磨き指導とフッ素塗布だけでは効果的な予防医療を提供しているとは云えない事がご理解いただけるかと思います。

 

成人の場合は青で示した検査や処置が加わります。
小児の場合は必要に応じて歯周検査や矯正治療のための検査を行います。

 

生涯ご自身の歯を健康に保って頂くためにできる事

このように従来通りの治療に専念した歯科医療行っていると、この平均的な流れに従って大切な歯は失われて行きます。これは虫歯の治療をしてはいけないという事ではありません。虫歯に罹患したら自然治癒はないので治療をしなければもっと早期に歯は失われてしまいます。ですから歯の治療をしないで済むように、少なくとも早いうちから歯を削って詰める事がないように予防に努めて歯を残すための医療をする事が真の歯科医師の役割りだと私たちは考えています。そして患者さんには患者さんの役割りがある事を知って頂く事、その情報をご提供する義務があると考えています。患者さんの口腔の状況を把握するための検査や資料採取(口腔内写真、お顔の写真、レントゲン写真、歯列模型etc)、生活習慣を知るためのアンケート等、資料を整えさせていただきます。
これらの資料を元に国際基準に則った虫歯の発症の予測を行います。これは患者さんがそれまでと同じ環境下で過ごした場合の将来の虫歯の発症率の予測ができ、改善した場合どの程度虫歯の発症が抑えられるか等がシュミレーションできます。虫歯予防のために、ただ歯磨き指導やフッ素塗布をルーティンにする時代ではなくなっているのです。
単なる一律的な予防処置に終わる事なく、虫歯のなりやすさの予測に基づくカスタマイズした予防医療の提供を行っています。

歯周治療においては当医院では歯周病専門認定医、指導医による再生医療によって重度の歯周病の患者さんにもより良い条件のもとでメインテナンス移行できるような治療をご提供しております。しかし、歯周病によって失われた歯周組織の再生は時間的にも経済的にも負担の大きい治療です。基本的には虫歯で溶けた歯が元に戻らないのと同じで、失われた歯を支える骨は簡単には元には戻せません。やはり、早期発見、早期治療に務めご自身の歯周組織を失うことなく生涯に渡って健康な歯茎を保って頂きたいと思っております。
当医院では世界基準に基づく歯周病に罹患するリスク、歯周病が重症化するリスク判定を行い患者さんそれぞれに合った適切な治療、予防医療をご提供しています。

詳しくは専門のHP : http://www.dr-shimizu.comをご覧下さい。

不正咬合は一般的には予防という概念はあまり浸透していません。永久歯が全て生え揃って歯並びが悪くなったら治療が開始されます。永久歯を抜いてバランスよく上下の歯を並べる治療法が一般的です。この方法のメリットは永久歯が全て生え揃ってから行うため、歯がきれいに並ぶかどうかの診断が容易です。成長発育を待ったり、予測する必要がない分、治療期間は短く治療方法もシンプルな事が多いです。デメリットは歯を全部並べるためのスペースがなければ永久歯の抜歯を行います。また、顎の形や上下顎の位置関係の改善は成長期を過ぎると変えられなくなってしまうので対症療法で歯並びだけを治す事になります。
小児期から始める矯正治療の最大のメリットがこれらを改善できる事です。顎の大きさや形を整えて歯をきれいに並べるための環境を作ったり、上下の顎の位置関係の改善を行える事です。
では、不正咬合の予防もできるのでしょうか?
不正咬合の原因は⑴遺伝的要因⑵先天的要因⑶後天的要因の3つの要素が複雑に絡み合って発現します。発現する時期も主な原因がどれによって異なります。
ですから正確に不正咬合の発現を予測し、予防するのは現在の歯科の技術では難しいです。その上、歯科医師がコントロールできるのは3つの要素のうち⑶の後天的要因のみです。
しかし、近年の研究では不正咬合の発症の原因として機能と形態の獲得期における後天的要因がかなりの割合を占めることがわかってきました。つまり完全に歯が生え揃ってしまう前に後天的要因だけでもしっかりとコントロールする事によって、放置していたら重度の出っ歯や受け口、叢生になるであろうお口をそれ程ひどくしないようにする事は可能だと言う事です。また元々軽度の不正咬合の場合は少しの治療介入で正常咬合にする事も可能です。
当医院では開業当初より必要最小限の治療介入で、きれいな歯並びを完成させたいと考え予防的矯正治療を積極的に行っております。詳しくはHP http://kodomo-hanarabi.netをご覧下さい。

未来を見据えた一歩先を行く質の高い予防医療を患者さんへご提供し、生涯、ご自身の歯でお食事を楽しんで、不自由のない会話をし、とびきり素敵な笑顔で過ごして頂きたいと願っております。